自称阪神タイガース評論家（跡地）

◇９月５日（土）広島−阪神１９回戦（阪神１０勝９敗、１５時１分、マツダスタジアム、３１７２４人）
阪　神　０００　２００　０００―２
広　島　０００　２２０　０１×―５
【阪神】●福原（３勝９敗）　金村暁　筒井　アッチソン　桟原
【広島】○斉藤（９勝８敗）　林　シュルツ　Ｓ永川（28セーブ）
[本塁打] 栗原19号（広）

　この試合の前までは、気楽な楽しみを抱きながら残りのシーズンを楽しめるような感覚でいた。しかし今後も追撃態勢を維持できるのか、もはやここまでなのか。突然そういう局面がやってきたような試合となってしまった。

　まずはブラゼルの故障。打った直後、体重が乗っていた左ヒザが、まるで負荷に耐えられずに壊れてしまったかのように崩れ落ちた。古傷を痛めたということであれば簡単なことではない。一発長打、意外な柔軟性、ムードメーカー的部分。快進撃のベースとなっていた助っ人の離脱は痛すぎる。

　もう一つはアッチソン。前夜の「藤川イニングまたぎ」のウラで、首脳陣のフォローがなく、自分は信頼されていないと思っていたのではなかろうか。この日、２点ビハインドの８回ウラの登板も、アッチソンが快投で流れを変えるのが目的だったのだろうが、アッチソンは、自分が投げるべき前夜は投げずに、自分が投げるべきでない今投げることへの不信感、そこまでいかなくとも、疑問を持っていたのだろう。
　１点失って、球数もかさみ、二死としたところでの降板。これもセットアッパーのプライドを傷つけたのだろう。ロッカーで荒れ狂っていたというのは、自分の不甲斐なさだけではなく、納得のいかない使われ方、引っ込め方も大きく関係しているだろう。
　後を受けた桟原は、二軍の好調を維持したような思い切った投球で空振り三振で切り抜けた。元からこのイニングは桟原のイニングだったんだよ。

　２点差を追う７回に、エラーでもらった無死一塁の走者を送りバント。同じく８回は一死から出た鳥谷に、金本右飛後の二死で二盗を成功させる。「まず１点」を取りに行くこれらの策も、思い通りに点にならないと、どこか中途半端な消極性だけが残ってしまう。
　普通に負けるのではなく、やれるだけジタバタして負けたと言うことかもしれないが、どうも「堂々と負けておいたら良かったのに」と思ってしまう。そんな１敗だった。


　勢いのある斉藤から４回に先制したところまでは良かったんだけどね。福原はポンポンとストライクを先行させ、小気味良いリズム。３回ウラ、平野がそれに応えるように東出の高いバウンド二ゴロを鋭いダッシュで裁く好プレー。ノリノリのまま４回表先頭でクリーンヒット。鳥谷は素晴らしい当たりもアンラッキーの右直。しかし金本が単打で繋いで一死一三塁、新井がワンバウンドで左中間フェンスに達する二塁打で、平野に続き一走金本まで好走塁で生還。

　しかし点をもらった福原、意識しすぎて４回リズムが悪くなる。先頭小窪に粘られた末にヒット、一死後栗原に同点２ランを食らう。１−２からインハイシュートを要求した狩野の狙いもたいがい甘いが、そこは福原が考えなきゃいけないところ。悔やまれる１球だった。
　その後のピンチはラッキーなライナーゲッツーでしのいだものの、狂い始めたリズムを戻すことが出来ず、５回に逆転を許してしまう。立ち上がり、素晴らしい内容だっただけに、残念な久々先発となってしまった。

　それにしてもこの中盤は良くないプレーがたくさんあったなぁ。まず同点にされた後の５回表二死から赤星、レフト線に落ちるヒットを前進して来たフィリップスが止められず後逸、赤星の走力なら余裕でランニングホームランにできたはずなのに、打った直後の全力疾走を怠って三塁打止まり。ファールと思った？弁解の余地なし。
　５回ウラ、決勝点となった倉の内野安打は、前進守備の一塁頭を越えるアンラッキーな打球ではあったが、福原のベースカバー遅れがなければ、一つアウトは取れたかも知れない。
　さらにその後一死満塁からの三ゴロ、前進して来た新井、なぜか５−４−３を狙って併殺崩れ。やらずもがなの４点目をやってしまった。動きからしても、タイミングからしても、この１点の意味からしても、５−２−３の併殺を狙うべきだった。最近の新井は守備走塁時の動きも目立って良くなっていただけに悔やまれる。

　一夜明け、アッチソンも気を取り直していることを願う。ブラゼルのケガが重くないことを願う。だけどどんなことがあっても、禍の中に福を見出すことを忘れないでやることが大事。あの時のあれのお陰で、今こうなった。プロ野球とはそんなことの繰り返し。済んだことより、次のこと。今日の一戦、勝ち越しキープできるかどうか、非常に重要になった。