自称阪神タイガース評論家（跡地）

　この場所で快勝するのはいつだって気持ちいいのだけれど、相手がＭＬＢ球団というのもいいもんだ。体調面で万全ではなかったのだとは思うけどね。
　それでも岩田は良かった。甘そうに見えても、素直に来ない汚い球筋で満足な当たりをさせない。内外を丁寧に投げ分けて、名人イチローのバットをまっぷたつ。ズバッとくるっと５回投げて三振５つ奪う好内容。こう言っちゃなんだけど、藤川よりずっとメジャー向きだ。大きな舞台で落ち着いた投球、そのまま開幕を迎えてくれたら良し。

　速い球に張って、思いっきりスイング。ど真ん中の甘い球ではあった。金本が大好きな力勝負。パワーとパワーのぶつかり合いに完全勝利した打球がライトを守るイチローの頭上はるか高くに舞い上がる。チームを覆うモヤモヤを吹っ飛ばす「４番」の一打。何番を打っていても関係ない。この人は４番人間なのだ。

　スーパースローで再生される表情からは「負けてたまるか」という気持ちがのぞく。スゴイ、強いと騒がれているがナンボのもんじゃ、負けてたまるか。己との戦い、痛みとの戦い、老いとの戦い…そんな戦いが見えているうちはまだ金本復活とは言えない。オマエそんなにスゴイんか、ほんじゃ勝負じゃ…と燃えてこその金本だ。
　和田監督はスイッチが入ったと言った。金本にスイッチが入った。そして金本の一発でチーム全体にスイッチが入った。

　外野守備はともかく、ブラゼルの器用さは大したもん。去年もずっとやっていた２ストライクから別人になる打撃はますます磨きがかかって来た。追い込まれた後のブラゼルはチームトップクラスのアベレージヒッターだ。だから相手投手は、２ストライク目を大きな空振りで稼いでも、逆にその球が狙われていると感じるだろう。３安打素晴らしい。

　打席内容がぐんぐん向上している伊藤隼、持ち味発揮の柴田、リードと打撃では好内容を見せ続けている小宮山の若手３人が開幕に向けて上昇気配を漂わせ、鳥谷、新井も浮上の兆しあり。ここまで混沌を演出してきた城島、大和は開幕までの時間でリフレッシュしたら良し。「調子問題」はなんとなく希望が見えた。あとは「和田野球問題」だ。こっちもラスト一戦で解決させておこう。

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