2012.04.07 Saturday
各球場エース格の投げ合いと接戦の好ゲーム。極めつけはマエケンのノーヒットノーラン。若きエース、大記録で今季初勝利おめでとう。実は戦力充実しているカープ、これで乗ってくるかもね。
人気blogランキング >>
人気blogランキング >>
甲子園開幕だったタイガース能見も負けてない。二塁を踏ませたのは四球、バントの初回だけ、2安打完封で今季初勝利。ジャイアンツ戦は去年から続いて4連勝、通算で13勝4敗というGキラーぶりを今回もまた発揮した。
立ち上がりはいつものウィニングショットであるフォークがいいところに決まらず、探りながらの投球だった。球速表示もいつものように速くない。相手澤村が伸びのある速球を投げ込んで来るのに比べたら、能見の速球は走りが悪いように見えた。でもそこからの修正が良かった。逃げていくチェンジアップと大きなスライダーがものすごいブレーキ。その遅さを武器に、キュッと手元まで来てから切れ込むカットボールを「速球」として使う「遅めの緩急」で左右を広く使う組み立てを中心に据えた。「速めの緩急」で高低を使う能見っぽい配球を意識させながら、新パターンで翻弄した。小宮山の機転、見事なリードもあっての完封劇だった。
これはどうやって点を取ったものかと考えてしまうような序盤の澤村だったが、打撃不振のチームをバックに投げる投手のしんどさが出た。
4回表先頭平野がセーフティバントの構えなどを見せながら、最後は一ゴロ、澤村ベースカバーに全力疾走。大事大事。調子いい投手は足から崩せ。一死後柴田が右前クリーンヒットでチーム初出塁、塁上で投手を揺さぶる。走者がチョロチョロめんどくさいし、打ててないけど鳥谷は構えが怖いしで四球。一死一二塁としたが、新井ブラゼル連続三振で得点はならず。
気になったのは新井のムチャ振り。「チームの勝敗を背負う」という「昭和の4番」に縛られることはないと思うよ。臨機応変。ロッテや日ハムが連打で強かった時、状況判断のいい、繋ぐ4番の存在が光っていた。あんな感じでね。
マウンドに剛球投手、一死一二塁先制のチャンス。ゲッツーに対してどう考えるかの結果が「ゲッツー上等、何も考えずに思いっきり」だったのだと思う。「昭和の4番」はそれが王道。でも今のタイガースには、外角低めの直球に食らいついて、併殺に備えてやや広めの一二塁間を鋭く破るタイムリーを打てる状況判断が欲しい。万一セカンドに捕られても走者を進められるような打撃が欲しい(現在ジャイアンツの二塁手には一二塁間のゴロで自信を持って二塁送球しアウトにできるような守備力はないのだから)。そうすればインサイドの球に目を切ってしまうような気負いすぎの空振りは防げたはず。和田監督には、新井の迷いを取り除く言葉をかけてあげて欲しい。
4,5番がブレーキになってしまったこの試合だが、その代わりに6番マートン、7番金本がまるで1,2番のように機能する。5回先頭のマートンが投手足下を抜く中前ヒットで出塁。続く金本は一二塁間を破る。二遊間はゲッツーが取れる(二塁ベースカバーに入れる)所にいなきゃいけない、一塁手はベースについていなきゃいけない。この無死走者一塁の時の一二塁間というのは、ホントに広いのだ。そこにゴロを打てばまずヒットになる。今の金本は高確率でホームランを打てと言われても困るだろうが、高確率で広い一二塁間に転がせと言われれば苦もなくやってのけられる状態。こういうことができるっていうのが大事。バントしなくても一死二塁以上は確実なんだからね。
無死一二塁で小宮山が一つバントファールの後、投手捕手一塁の間に殺す見事なバントで一死二三塁。予定通り能見三振の後、予定通り平野がセンター前にタイムリー、二走金本は好返球、好ブロックに阻まれてアウトになったが、それはまったく問題なし(タイミングセーフだったので、金本にはなんとかして欲しかったなあ、キャンプでローリングの練習してたし)。
金本、小宮山が仕事きっちり。能見に投げた時、澤村が感じた心理的重圧はものすごい(当たり損ねのヘボゴロでも点が入るかもしれない)、だから集中力続かずに平野に甘い球もいく。いつもスワローズあたりにやられて、イヤらしいと感じる攻撃。それにしても平野はよう打ったね。
6回ウラ、打てないけど構えが怖い鳥谷、今日は2四球とボテボテ内野安打(悪送球付き)の3出塁。不振の間もこれだからエラい。一死二塁で新井「無駄死に」三ゴロ、今週のテーマどおり点は入らず。
7回ウラ、1−0。「裏1番」マートン右前でマルチ。ここで代走大和は素晴らしい切れ味だ。もし9回までやる状況ならもう一度打順は回る。その時、ここにマートンがいなくていいのか。いや、ここは勝負を賭けて、リードを拡げ、絶対に逃げ切るのだ。このキレのある判断は素晴らしかった。大和塁上で澤村を揺さぶる。初球、金本、いとも簡単に一二塁間を緩いゴロで破る。俊足大和迷わず三塁へ。狙い通り最高の形で無死一三塁。金本への代走俊介。
さあしかし8番小宮山、9番能見でどうする?代打→継投に入るのか?打席に小宮山がそのまま入る。初球真っ直ぐが高くボール。小宮山動かず。2球目外スライダー完全なボールを空振り、どうやらゴロゴーか。3球目の前に一つ牽制、阿部スクイズ警戒。3球目、小宮山バントの構え、スライダーワンバウンドでボール、二人の走者は動かず。セーフティースクイズの構えだった。4球目、まっすぐインハイを小宮山一塁前へバント、転がってから大和スタート、一塁小笠原前進して掴みホームを見るが間に合わない!一塁送球、セーフティースクイズ大成功!2−0!
これはもう「小宮山でセーフティスクイズ1点」だけのためにデザインされた攻撃だった。小宮山、能見に代打を送るという作戦もある。偽装スクイズで走者を2塁に進める作戦もある。
しかし和田監督が選んだのは、一三塁の状態で一塁手をベースに張り付かせて、バントの上手い小宮山に一塁前に転がさせ、俊足で判断のいい大和に生還させること。そしてもう一つ重要なのは、少なくとも8回表、できたら最後まで能見&小宮山のバッテリーを変えないこと。そこまで考えた上で「1点だけ」取るためにデザインされた作戦。確実に勝つためのデザイン。これは、今改めて冷静に考えても最善手だ。和田采配鋭い。
そしてこの作戦の副産物。全員がその意図をしっかり認識し、デザインされた作戦のパーツとして機能する喜びを感じ、勝利への一体感を得たこと。しかも甲子園のジャイアンツ戦の、その1試合目で。これは大きい。
8回ウラ、投手は大卒新人高木京介。先頭柴田しぶとく左前に落とすヒットでマルチ。またも塁上でちょろちょろして鳥谷四球。しかし新井ポップ、ブラ3つめの三振で二死、走者進めず。大和におまけの打席が回る。ここは今週のテーマもあるし、もともと点が入らなくて仕方ないという打席だったが、大和にとってはそうじゃない。レギュラーになるためにはこういう打席で打たなきゃいけない。そしてしぶとく右前に落としてダメ押しの3点目が入った。これは前日までのブラゼルのホームランと同様に、和田タイガースの競争の激しさがもたらした点だ。
ヒーローインタビューで、前日の安藤を称えた能見。自分のことは当たり前、さらにチームにどうやっていい影響を与えていくか。主力はその意識で引っ張る。キャンプ最終日、みんなで声と足並みを揃えたランニングで締めた時に感じた和田タイガースへの期待が、今また再び猛烈に盛り上がってきた。こういう戦い方を続けてくれたら、本当に楽しい1年になる。
人気blogランキング >>
立ち上がりはいつものウィニングショットであるフォークがいいところに決まらず、探りながらの投球だった。球速表示もいつものように速くない。相手澤村が伸びのある速球を投げ込んで来るのに比べたら、能見の速球は走りが悪いように見えた。でもそこからの修正が良かった。逃げていくチェンジアップと大きなスライダーがものすごいブレーキ。その遅さを武器に、キュッと手元まで来てから切れ込むカットボールを「速球」として使う「遅めの緩急」で左右を広く使う組み立てを中心に据えた。「速めの緩急」で高低を使う能見っぽい配球を意識させながら、新パターンで翻弄した。小宮山の機転、見事なリードもあっての完封劇だった。
これはどうやって点を取ったものかと考えてしまうような序盤の澤村だったが、打撃不振のチームをバックに投げる投手のしんどさが出た。
4回表先頭平野がセーフティバントの構えなどを見せながら、最後は一ゴロ、澤村ベースカバーに全力疾走。大事大事。調子いい投手は足から崩せ。一死後柴田が右前クリーンヒットでチーム初出塁、塁上で投手を揺さぶる。走者がチョロチョロめんどくさいし、打ててないけど鳥谷は構えが怖いしで四球。一死一二塁としたが、新井ブラゼル連続三振で得点はならず。
気になったのは新井のムチャ振り。「チームの勝敗を背負う」という「昭和の4番」に縛られることはないと思うよ。臨機応変。ロッテや日ハムが連打で強かった時、状況判断のいい、繋ぐ4番の存在が光っていた。あんな感じでね。
マウンドに剛球投手、一死一二塁先制のチャンス。ゲッツーに対してどう考えるかの結果が「ゲッツー上等、何も考えずに思いっきり」だったのだと思う。「昭和の4番」はそれが王道。でも今のタイガースには、外角低めの直球に食らいついて、併殺に備えてやや広めの一二塁間を鋭く破るタイムリーを打てる状況判断が欲しい。万一セカンドに捕られても走者を進められるような打撃が欲しい(現在ジャイアンツの二塁手には一二塁間のゴロで自信を持って二塁送球しアウトにできるような守備力はないのだから)。そうすればインサイドの球に目を切ってしまうような気負いすぎの空振りは防げたはず。和田監督には、新井の迷いを取り除く言葉をかけてあげて欲しい。
4,5番がブレーキになってしまったこの試合だが、その代わりに6番マートン、7番金本がまるで1,2番のように機能する。5回先頭のマートンが投手足下を抜く中前ヒットで出塁。続く金本は一二塁間を破る。二遊間はゲッツーが取れる(二塁ベースカバーに入れる)所にいなきゃいけない、一塁手はベースについていなきゃいけない。この無死走者一塁の時の一二塁間というのは、ホントに広いのだ。そこにゴロを打てばまずヒットになる。今の金本は高確率でホームランを打てと言われても困るだろうが、高確率で広い一二塁間に転がせと言われれば苦もなくやってのけられる状態。こういうことができるっていうのが大事。バントしなくても一死二塁以上は確実なんだからね。
無死一二塁で小宮山が一つバントファールの後、投手捕手一塁の間に殺す見事なバントで一死二三塁。予定通り能見三振の後、予定通り平野がセンター前にタイムリー、二走金本は好返球、好ブロックに阻まれてアウトになったが、それはまったく問題なし(タイミングセーフだったので、金本にはなんとかして欲しかったなあ、キャンプでローリングの練習してたし)。
金本、小宮山が仕事きっちり。能見に投げた時、澤村が感じた心理的重圧はものすごい(当たり損ねのヘボゴロでも点が入るかもしれない)、だから集中力続かずに平野に甘い球もいく。いつもスワローズあたりにやられて、イヤらしいと感じる攻撃。それにしても平野はよう打ったね。
6回ウラ、打てないけど構えが怖い鳥谷、今日は2四球とボテボテ内野安打(悪送球付き)の3出塁。不振の間もこれだからエラい。一死二塁で新井「無駄死に」三ゴロ、今週のテーマどおり点は入らず。
7回ウラ、1−0。「裏1番」マートン右前でマルチ。ここで代走大和は素晴らしい切れ味だ。もし9回までやる状況ならもう一度打順は回る。その時、ここにマートンがいなくていいのか。いや、ここは勝負を賭けて、リードを拡げ、絶対に逃げ切るのだ。このキレのある判断は素晴らしかった。大和塁上で澤村を揺さぶる。初球、金本、いとも簡単に一二塁間を緩いゴロで破る。俊足大和迷わず三塁へ。狙い通り最高の形で無死一三塁。金本への代走俊介。
さあしかし8番小宮山、9番能見でどうする?代打→継投に入るのか?打席に小宮山がそのまま入る。初球真っ直ぐが高くボール。小宮山動かず。2球目外スライダー完全なボールを空振り、どうやらゴロゴーか。3球目の前に一つ牽制、阿部スクイズ警戒。3球目、小宮山バントの構え、スライダーワンバウンドでボール、二人の走者は動かず。セーフティースクイズの構えだった。4球目、まっすぐインハイを小宮山一塁前へバント、転がってから大和スタート、一塁小笠原前進して掴みホームを見るが間に合わない!一塁送球、セーフティースクイズ大成功!2−0!
これはもう「小宮山でセーフティスクイズ1点」だけのためにデザインされた攻撃だった。小宮山、能見に代打を送るという作戦もある。偽装スクイズで走者を2塁に進める作戦もある。
しかし和田監督が選んだのは、一三塁の状態で一塁手をベースに張り付かせて、バントの上手い小宮山に一塁前に転がさせ、俊足で判断のいい大和に生還させること。そしてもう一つ重要なのは、少なくとも8回表、できたら最後まで能見&小宮山のバッテリーを変えないこと。そこまで考えた上で「1点だけ」取るためにデザインされた作戦。確実に勝つためのデザイン。これは、今改めて冷静に考えても最善手だ。和田采配鋭い。
そしてこの作戦の副産物。全員がその意図をしっかり認識し、デザインされた作戦のパーツとして機能する喜びを感じ、勝利への一体感を得たこと。しかも甲子園のジャイアンツ戦の、その1試合目で。これは大きい。
8回ウラ、投手は大卒新人高木京介。先頭柴田しぶとく左前に落とすヒットでマルチ。またも塁上でちょろちょろして鳥谷四球。しかし新井ポップ、ブラ3つめの三振で二死、走者進めず。大和におまけの打席が回る。ここは今週のテーマもあるし、もともと点が入らなくて仕方ないという打席だったが、大和にとってはそうじゃない。レギュラーになるためにはこういう打席で打たなきゃいけない。そしてしぶとく右前に落としてダメ押しの3点目が入った。これは前日までのブラゼルのホームランと同様に、和田タイガースの競争の激しさがもたらした点だ。
ヒーローインタビューで、前日の安藤を称えた能見。自分のことは当たり前、さらにチームにどうやっていい影響を与えていくか。主力はその意識で引っ張る。キャンプ最終日、みんなで声と足並みを揃えたランニングで締めた時に感じた和田タイガースへの期待が、今また再び猛烈に盛り上がってきた。こういう戦い方を続けてくれたら、本当に楽しい1年になる。
人気blogランキング >>