2012.04.27 Friday
確かにカープ打撃陣は当たってないし、タイガース打線の繋がりもイマイチ。それを差し引いても先日のメッセンジャーとマエケンは見応えたっぷりの投手戦だったし、この日の安藤vsバリントンの投げ合いもそれに負けない、それを上回るような質の高さがあった。
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バリントンも良かった。前半はノーチャンス。5回、6回、7回と好機は作ったが、好守にも阻まれ、少しの拙攻もあって点にならない。7回一死一塁に代走大和で柴田併殺打は残念だった。こういうところで二人協業で渋い働きをしてくれないとね。まあ経験だ。金本本塁憤死は回すのもぶちかましも当然のプレーだったと思う。お互い捕手に困っているチームなので、悪いなとは少し思った。
安藤は酸いも甘いも知り尽くした男のメリハリある投球。プレーボールの第1球ストレートは外角へ145km/h、2球目以後も梵に対してまるで9回ウラ2アウトのように気迫を込めて全力で抑えにかかった。2回以後も先頭打者、特にその初球には気持ちを込めて腕を振り、力を入れた。「頭を取る」勝負の鉄則。
一死取れれば、あるいは3回4回と進むにつれ、ペース配分を頭に入れた頭脳的な投球。球の力よりコントロールと軌道重視、手を出しにくい球、ファールになる球でカウントを稼ぎ、直球とフォークで低めいっぱいの出し入れする。面白いように三振を取った。
3回は二死から一二塁のピンチを背負うが、丸を投ゴロに仕留める。そこからはもうスイスイ、4回から8回まで一人の走者も許さぬ見事な制球力だった。
試合は0−0のまま、球数は92、安藤は9回も投げる。しかし一死から東出の巧打、続く丸との間でエンドラン、途中から入った大和の前に落ちるセンター前ヒット、一死一三塁の大ピンチになる。決勝点を防ぐための深いシフトだったから、さすがの大和でも間に合わなかった。
しかしここから安藤がギアチェンジ。高低に弱みのあるニックには高め直球と低めフォークで翻弄し、最後はワンバウンドを振らせて空振り三振。二死一三塁、こうなればあとは打者廣瀬に集中。1点勝負、ベースは一つ空いている。方針は、打ち気を利用しながら空振り三振を取る、その一つだけ。カウント3−0になってしまったがある程度想定内。ここで一つストライク、外のスライダーに手を出してこないのも想定内。同じスライダー、四球になってもOKという誘い球を振らせてフルカウント。丸が走って二三塁になるのも想定内だ。
フルカウントからバッテリーが自信満々選んだのはフォークボール。高さはストライクからストライク、しかし打者の手元でカクッと落ちて廣瀬たまらず空振り!連続三振でピンチを切り抜ける!安藤渾身のガッツポーズで吠える。
このシーンは本当に凄みがあった。この日の決め球フォークを、腕を振って、恐れず、ひるまず投げ続けた安藤。そして三走を帰してしまえば負けという局面で、「ワンバウンド来い」と迷わなかった小宮山。その守備力による貢献も忘れてはならない。
9回投げきってゼロ。完封勝利の勲章は得られなかったが、「真のエースの投球」はチーム全員の胸に焼き付いた。記録はなくとも、それ以上の最高の記憶だ。
試合が進むにつれて断続的に降っていた雨が本降りになっていく。カープは8回からミコライオ、10回からサファテと盤石の外国人トリオの継投。タイガースは10回藤川、11回榎田と強い方から切っていく。
しかし延長11回表、二死から東出がレフト線またもや巧打の二塁打、暴投、四球、盗塁で二死二三塁のピンチ。代打會澤の二遊間を抜けようかという打球、鳥谷が深く追いながら腕を伸ばしてガッチリキャッチ、体をくるっと回して勢いつけて一塁送球アウト!!これはスーパープレー!
あの打球コースだと、ポジショニングと一歩目が合ってないと追いつけない。そして追いつけても横っ飛びしちゃダメ。塁が詰まってないからアウトにできるのは一塁だけ。あれだけ深く追って倒れて起きあがっての送球では間に合わない。立ったまま捕って、転ばないで投げなきゃアウトにできない。もちろんファンブルもジャッグルもダメ。あのキャッチする瞬間の鳥谷、足の運び、ボールを見る目、グラブを閉じるタイミング。ものすごい集中力。いや精神力というような不安定なものに頼らない何か。その何かを機械のような正確さと呼ぶ人もいるだろう。これがなかったら負けの1プレーだった。
延長11回ウラ、雨は降り続く。小宮山と榎田に代打城島、桧山を送るも倒れて二死(桧山のセンター後方は惜しかった)。マートンの打球は一塁正面への強いゴロ。しかし岩本これを捕れず打球は水しぶきを上げながらライト線を滑り、マートンは二塁到達。代走俊介。
突然訪れた好機に平野。得点圏打率チームトップの男、しかも次は相手を恐れさせ、萎縮させるマシーン鳥谷。ここは平野相手に力で勝負だ。ところが初球フォークはサインミス。捕手白濱、慌ててサファテに駆け寄ってひそひそ。2球目インコース真っ直ぐ、平野振ったがバット折れてどん詰まり、しかしふわっと低く浮いたハーフライナーは広く開いた二遊間に落ちる、二塁東出懸命に走って打球を止めようとするが打球はそのグラブの先でワンバウンド、ツーバウンド、俊介三塁を回る、前進してきた強肩センター丸が思いっきりバックホーム!しかし雨に濡れたボールは高く浮く、誰もいないホームベース上をトップスピードの俊介が滑り抜ける、立ち上がる、二塁ベースにいるヒーローのところに走り始める…絶叫と興奮のスタンド、全選手が平野に向かって走り出す…球児が走る、榎田が走る、次の回に備えて防具をつけていた岡崎が走る…なぜか逃げる平野(笑)、距離がとれたところで向き直って両手を上げて「さあ来い」、安藤も走る、関本も走る、もみくちゃ、尻から体当たり、また逃げた平野、金本が追いかけて、小さい平野を抱き上げる、抱き上げられた平野、また両手を上げてバンザイ!(笑)マートンが駆け寄ってハイタッチ、ブラゼルもやってきて両手を合わせる!…カープベンチでは岩本が思わずミットを投げつけて自分への怒りを表している…グラウンドでは関本に肩車されたちびっ子平野が誰彼とハイタッチしながら引き上げてくる…まだまだスタンドは興奮状態に包まれたまま…。
点が入らなくても、きれいなヒットやホームランがなくても、一生懸命の走塁、必死の守備、バッテリーのがんばりでこんなに興奮できる。こんなに楽しい試合になる。
今季初、久しぶりの歓喜の爆発。全員の笑顔が弾ける瞬間。感動しまくっている監督(笑)。サヨナラはいいね。最高だった。
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安藤は酸いも甘いも知り尽くした男のメリハリある投球。プレーボールの第1球ストレートは外角へ145km/h、2球目以後も梵に対してまるで9回ウラ2アウトのように気迫を込めて全力で抑えにかかった。2回以後も先頭打者、特にその初球には気持ちを込めて腕を振り、力を入れた。「頭を取る」勝負の鉄則。
一死取れれば、あるいは3回4回と進むにつれ、ペース配分を頭に入れた頭脳的な投球。球の力よりコントロールと軌道重視、手を出しにくい球、ファールになる球でカウントを稼ぎ、直球とフォークで低めいっぱいの出し入れする。面白いように三振を取った。
3回は二死から一二塁のピンチを背負うが、丸を投ゴロに仕留める。そこからはもうスイスイ、4回から8回まで一人の走者も許さぬ見事な制球力だった。
試合は0−0のまま、球数は92、安藤は9回も投げる。しかし一死から東出の巧打、続く丸との間でエンドラン、途中から入った大和の前に落ちるセンター前ヒット、一死一三塁の大ピンチになる。決勝点を防ぐための深いシフトだったから、さすがの大和でも間に合わなかった。
しかしここから安藤がギアチェンジ。高低に弱みのあるニックには高め直球と低めフォークで翻弄し、最後はワンバウンドを振らせて空振り三振。二死一三塁、こうなればあとは打者廣瀬に集中。1点勝負、ベースは一つ空いている。方針は、打ち気を利用しながら空振り三振を取る、その一つだけ。カウント3−0になってしまったがある程度想定内。ここで一つストライク、外のスライダーに手を出してこないのも想定内。同じスライダー、四球になってもOKという誘い球を振らせてフルカウント。丸が走って二三塁になるのも想定内だ。
フルカウントからバッテリーが自信満々選んだのはフォークボール。高さはストライクからストライク、しかし打者の手元でカクッと落ちて廣瀬たまらず空振り!連続三振でピンチを切り抜ける!安藤渾身のガッツポーズで吠える。
このシーンは本当に凄みがあった。この日の決め球フォークを、腕を振って、恐れず、ひるまず投げ続けた安藤。そして三走を帰してしまえば負けという局面で、「ワンバウンド来い」と迷わなかった小宮山。その守備力による貢献も忘れてはならない。
9回投げきってゼロ。完封勝利の勲章は得られなかったが、「真のエースの投球」はチーム全員の胸に焼き付いた。記録はなくとも、それ以上の最高の記憶だ。
試合が進むにつれて断続的に降っていた雨が本降りになっていく。カープは8回からミコライオ、10回からサファテと盤石の外国人トリオの継投。タイガースは10回藤川、11回榎田と強い方から切っていく。
しかし延長11回表、二死から東出がレフト線またもや巧打の二塁打、暴投、四球、盗塁で二死二三塁のピンチ。代打會澤の二遊間を抜けようかという打球、鳥谷が深く追いながら腕を伸ばしてガッチリキャッチ、体をくるっと回して勢いつけて一塁送球アウト!!これはスーパープレー!
あの打球コースだと、ポジショニングと一歩目が合ってないと追いつけない。そして追いつけても横っ飛びしちゃダメ。塁が詰まってないからアウトにできるのは一塁だけ。あれだけ深く追って倒れて起きあがっての送球では間に合わない。立ったまま捕って、転ばないで投げなきゃアウトにできない。もちろんファンブルもジャッグルもダメ。あのキャッチする瞬間の鳥谷、足の運び、ボールを見る目、グラブを閉じるタイミング。ものすごい集中力。いや精神力というような不安定なものに頼らない何か。その何かを機械のような正確さと呼ぶ人もいるだろう。これがなかったら負けの1プレーだった。
延長11回ウラ、雨は降り続く。小宮山と榎田に代打城島、桧山を送るも倒れて二死(桧山のセンター後方は惜しかった)。マートンの打球は一塁正面への強いゴロ。しかし岩本これを捕れず打球は水しぶきを上げながらライト線を滑り、マートンは二塁到達。代走俊介。
突然訪れた好機に平野。得点圏打率チームトップの男、しかも次は相手を恐れさせ、萎縮させるマシーン鳥谷。ここは平野相手に力で勝負だ。ところが初球フォークはサインミス。捕手白濱、慌ててサファテに駆け寄ってひそひそ。2球目インコース真っ直ぐ、平野振ったがバット折れてどん詰まり、しかしふわっと低く浮いたハーフライナーは広く開いた二遊間に落ちる、二塁東出懸命に走って打球を止めようとするが打球はそのグラブの先でワンバウンド、ツーバウンド、俊介三塁を回る、前進してきた強肩センター丸が思いっきりバックホーム!しかし雨に濡れたボールは高く浮く、誰もいないホームベース上をトップスピードの俊介が滑り抜ける、立ち上がる、二塁ベースにいるヒーローのところに走り始める…絶叫と興奮のスタンド、全選手が平野に向かって走り出す…球児が走る、榎田が走る、次の回に備えて防具をつけていた岡崎が走る…なぜか逃げる平野(笑)、距離がとれたところで向き直って両手を上げて「さあ来い」、安藤も走る、関本も走る、もみくちゃ、尻から体当たり、また逃げた平野、金本が追いかけて、小さい平野を抱き上げる、抱き上げられた平野、また両手を上げてバンザイ!(笑)マートンが駆け寄ってハイタッチ、ブラゼルもやってきて両手を合わせる!…カープベンチでは岩本が思わずミットを投げつけて自分への怒りを表している…グラウンドでは関本に肩車されたちびっ子平野が誰彼とハイタッチしながら引き上げてくる…まだまだスタンドは興奮状態に包まれたまま…。
点が入らなくても、きれいなヒットやホームランがなくても、一生懸命の走塁、必死の守備、バッテリーのがんばりでこんなに興奮できる。こんなに楽しい試合になる。
今季初、久しぶりの歓喜の爆発。全員の笑顔が弾ける瞬間。感動しまくっている監督(笑)。サヨナラはいいね。最高だった。
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