自称阪神タイガース評論家（跡地）

　単純に「振れてなかった」と言ってしまうこともできるが、一頃のタイガース打線の最大の弱みは、「ボール球を投げておけば大丈夫」という点につきた。例えば金本、新井、ブラゼル、浅井、小宮山、投手、（１番に戻って）マートンと続くところ、ほとんどの打者はボール球に手を出してくれる。一人二人調子が良くて、四球を出したとしても、かまわずにボール球で誘っていれば、次の打者またはその次の打者で併殺を取れる可能性がかなり高い。最悪満塁にしてもだ。

　一方、強いチームと戦っていると、一つの四球から投手が崩されていく。長距離砲を歩かせれば次のしぶとい打者に繋がれて傷口が拡がる。巧打者を歩かせれば塁上で揺さぶられて、次の打者のカウントを悪くして狙われる。この差が異常に大きく感じられた。

　全体のどん底は抜けて、全員がボール球くるくるということはなくなったが、問題の本質はそのまま。一つの四球が、相手バッテリーに大きくのしかかるような打線にはなっていない。

　平野と大和の得点圏打率が高止まりしている。守備が上手い選手というのは、ボールを掌でとらえるような感覚が鋭いのだろう。余計な制約がなく、クリーンにとらえることだけに集中できる状況で力を発揮できているのだろう。別に彼らに打点王を取らせろと言うつもりはないが、この「どこからでも点を取れる打線」ならぬ「どこからでもボール球に手が出る打線」「どこからでも併殺が取れる打線」に一工夫するなら、二人をどこに配置するとよりイヤらしいかを考えることにある。それによって長距離砲もまた生きてくる。

　５月くらいからずっと同じ話ばかりしていて、飽きたのとバカバカしいのとでやめていたのだけど、上位チームに１勝５敗と負け越し、いよいよ５位も迫ってきたという状況でもう一回だけ言った。